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10年後、20年後の次代を担う子どもたちに
「この夏休み」集団保養を
県・市町村の計画立案を期待する
近藤幸男
<問題あり> 平成23年度子どもの健康調査
第6回福島県民健康調査の結果が4月末発表された。国指定の警戒区域等避難区域の三市七町三村の18歳未満の住民47、766人を対象とした甲状腺エコー検査を、約80%の38,114人が受診したという。
県は検査結果の判定をA,B,Cの3ランクに分けて発表したが、何とも理解し難いのはA判定の分類の仕方である。
(A1)結節や嚢胞を認めなかったもの。
24,468人(64.2%)
(A2) 5mm以下の結節や、20mm以下の嚢胞を認めたもの。
13,460人 (35.3%)
症状ゼロの人と軽度の症状の子どもが一緒にされ、くくられていたこと。
(ご丁寧に両者合計の99.5%までかきそえてある。)
B判定― 5.1mm以上の結節や20.1mm以上の嚢胞を認めたもの
186人 (0.5%)
C判定―甲状腺の状態等から判断して、直ちに二次検査を要するもの
0人 ( 0 %)
この発表に早速飛びついたのが朝日新聞である。「しこりがないなど問題ないとされた子どもが99.5%を占め、残りも良性の可能性が高いと判断。」と書き
「子の甲状腺「安心」福島県3万8千人調査」の見出で報じた。
県が暗黙の誘導をして朝日が乗ったのか、検討委員会側にも作為があったのではと感じたのは私の僻みか。県立医大の先生方は「とにかく今は安心させておこう。安心こそが悪化を防ぐ妙薬。」と本気で考えているのかもしれない。
小さい結節や嚢胞は急速に悪化することはないにしても、病変の兆候であることには変わりはない。チェルノブイリ事故でベラルーシでは爆発直後から小児の甲状腺がんの発生が始まり、翌年は4倍に、2年後5倍、3年後7倍、4年後29倍、5年後59倍、6年後66倍、7年後79倍、8年後82倍にと増大したという事実をどう見ているのでしょうか。(M.Vマリコ氏の著書より)
校庭・園庭の使用制限4月から解除!
ホットスポットお構いなしに?
郡山市はこれまで1日3時間以内に制限してきた、校庭、園庭の使用制限を除染が進んだと、4月から解除した。これを知った市民団体などが情報公開条例も活用して、ホットスポットが高線量で残っている事実を掴んで市に抗議。市も使用制限の解除撤回まではゆかなかったが、ホットスポットのさらなる除染を始めた模様。市は子どもたちの放射線被ばくの累積、内部被曝の恐ろしさをもっとまともに勉強してほしい。内部被曝はあとになって知ったのでは取り返しがつかないのです。広島、長崎の「ぶらぶら病」に続く「福島の『ぶらぶら病』」など絶対に受け入れられません!。
近づいた夏休み 県・市町村は
子どもたちの本格的「保養」の計画立案にすぐ着手を
チェルノブイリの原発事故(1986年4月)のさい、5年半も現地にとどまって子どもたちの治療にあたった医師菅野昭(長野県松本市長)は「チェルノブイリの経験からしても子どもたちのここ4,5年の集団疎開が大事」と語っています。「とにかく放射線のないところで心身の保養をすること、たとえ夏休みの1ヶ月間であってもするとしないとでは大きな違い」と。子どもたちの夏休みの本格的保養計画を立てるのは行政の仕事であり責任です。放射線のない都道府県や市町村に協力を要請して、具体化を図るべきです。去年はあわただしくてできなかったかもしれないが今年は準備の時間は十分あります。直ちに取り掛かるべきだと思います。いかがでしょうか。(以上・2012.5.9)