ふくしまの子ら思いつつ

              五月十五日

                      近藤幸男   

 

三割余の子の甲状腺に病変が出でしを県は「良性」とのみ

ここ四、五年の子らの疎開が肝要と識者語るをなぜに聞かざる

チェルノブイリの教訓知れば知るほどに胸の痛みの耐え難てとなる

「権利としての疎開」の法案を国会に上程せんとの運動起こる

夏休みに被曝の子らの保養をと無力の老いがやきもきといる

祭りの日赤飯と煮しめ給われば孤老は情けにただおろおろと

“トッキョキョカキョク”確かに聞けり杜鵑(ほととぎす)今日補聴器有難

菜の花の茹でし蕾のほろほろと甘く苦ければ日本の味